【酒評】太刀山 純米 無濾過生酒:不思議な味わいの酸っぱ旨辛口酒(吉江酒造・富山県砺波市)
たまに富山の酒を飲みます。
別に近所で買えるところがあるわけではなく、わざわざ1時間かけて高岡まで買いに行ってます。
「エスポアなかやす」という店で、ここはとても品揃えが良く、しかも銘柄のチョイスが秀逸です(僕的に)。
なかやすさんが運営している通販サイト:hokuriku-sake.com
たまにここを訪ねて「どれを買おう、どれを買おう」と店内で悩むのがほんまに幸せで仕方ない。
そういうわけで、たまに訪ねては何本かまとめ買いしてくるわけですが、今回の収穫のうちの1本がこれ。
「太刀山 純米 無濾過生酒」。
四号瓶で税込み1,131円でなかなか買いやすい価格帯。
(一升瓶は2,366円)
最近は無濾過っていう響きがもうダメ。
すぐ買いたくなっちゃう。
生原酒もダメ。
無濾過生原酒なんて聞いたら即買い。
その点、この太刀山は原酒ではないけど無濾過生酒、買うには十分です。
「太刀山(たちやま)」はなかやすで初めて出会った銘柄。
石川県で「とやまのたちやま」なんて言ったら「おっさん『たてやま』だろうが」って情弱扱いされますよ。
石川県でわりかしよく見かける富山の酒といえば、ぶっちぎりで「立山」、あとは「満寿泉」とか「銀盤」というところですからね。
こういう地元でしか買えないお酒を「どんな味がするんだろう」と想像しながら、そして限られた小遣いの範囲内で選んでいくのは、子供の頃に駄菓子屋で100円分のお菓子を選ぶかのごとく至高の時間なわけです。
そういうわけで吟味して選んだ酒を、家に帰って夜になるのを待って、ようやくウキウキしながら栓を開けるんですよね。
ちなみに今回買ったのは「無濾過生酒」なので、要冷蔵です。
原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
アルコール分:15度
精米歩合:60%
精米歩合は吟醸酒並。
前述の北陸の酒.comによると、米の品種は五百万石、日本酒度+4、酸度1.6、使用酵母は協会14号とのこと。
蓋だけ見ても、生なんはわかるけど、なんの酒かわからん笑
冷酒で
冷蔵庫から出して、まずはそのままいただきます。
色なし、濁りなし。
香りもほとんど感じない。
味についての第一印象は「なんだこの味は」という感じ。
とにかくはじめての味わい。
酸味?塩味?
どういう味構成だとこういう味になるんだ?
冷静に分析してみる。
まず酸味、これは間違いない。
基本的に酸っぱい。
甘味は感じない、つまり辛口。
何回か口に含んでみると、けっこう旨味があることにも気づいた。
口当たりはとてもなめらか。
全体的にすっきりとした味わいでキレが良く、淡麗な味わいだと思う。
しかし淡麗といってもいわゆる水のような飲みやすい味というイメージではなく、味の特徴はしっかりとある。
とにかく酸っぱい。
酸っぱ旨酒だ。
(あえて酸旨酒とは言わない)
とにかく面白い味で、全くクドくなく、何杯飲んでも印象は新鮮でした。
ぬる燗で
もちろん大好きなぬる燗でも試します。
香りは穏やかに蒸米のような甘い香りが感じられるようになった。
味の全体的な印象は変わらず、酸旨の辛口。
やはり中心は酸味で、旨味が目立たないながらも確かにある。
冷酒に比べて、全体的に味の広がりがある。
冷酒のところでも書いたが、口当たりがとにかくなめらかで、刺激がまったくない。
それもあってか、口の中での味の広がり方が独特で、なんと表現すればいいのかわからないが、舌の上に落ちた酒の雫が、ツーっと八方に静かに広がっていくようなイメージ。
(自分で書いといてアレだが、すごくわかりにくい)
とにかく、「めちゃ美味い!」って叫びたくなる味ではないけど、どんどん次が飲みたくなる不思議な味わいの酒だ。
まとめ
酸っぱくて旨くて、淡麗の辛口。
他ではあまりない味わいの酒です。
でも、どんどん次が飲みたくなる。
ほんまに不思議な味わいです。
これは文句なくマル◎。
富山の「たてやま」じゃなくて「たちやま」、アリですよ。
ちなみに、開封の翌日、さらに翌日に飲むと、開封した日より旨味がのってきてさらに美味しく感じました。
吉江酒造株式会社
〒939-1356
富山県砺波市若草町43
Tel 0763-32-2232
Fax 0763-32-6234
こんなのも美味しかったよ、富山のお酒。
おしまい。