【酒評】池月 うすにごり 本醸造(生):燗でパワフルな季節限定の酸渋生酒(鳥屋酒造・石川県中能登町)
石川県の中能登町にある小さな蔵元「鳥屋酒造株式会社」。
ここでは「池月」というお酒を造っている。
この「池月」、僕の好きな「福正宗」とは対照的に、普通のスーパー程度じゃ全然売ってない。
石川県でもかなりマイナーな酒の部類だろう。
そしてその池月の中でも、この時期しか手に入らない超稀少(?)な酒がこの「うすにごり」。
なぜ珍しくここまで力説するかというと、僕の出身地が中能登町であり、個人的に応援しているからだ。
スペック。
蘊蓄はここまで。
ここからは実飲レポ。
冷酒で
生酒ゆえ冷蔵保存指定なので、まずはそのままいただく。
名前どおり、うすーく濁っている。
香りは控えめだが、フルーツ系の吟醸香がほのかに香る。
味はまず酸、続いて苦、渋味がくる。
この苦、渋味はいわゆる新酒特有の未熟さからくる「尖った」とか「固い」味とか言われるアレか?
アルコール濃度なりの力があるが、全体として味わいはすっきりしているのですいすい飲める。
おかげで一気に酔いがまわる。
続いてぬる燗で
香りはとたんに甘くなり、ふんわり広がる。
味は甘、渋味が出てきた。
もともとある酸味とあいまって、味はかなりパワフルになる。
味の表現で「パワフル」ってどうなのよ、と自分でも思うが、語彙が少ないので良い表現がない。
とにかく色んな味が絡み合って濃いのだ。
味にパワーがあるのだ。
上記の味(酸・甘・渋)が強いので目立たないが、うま味もかなりある。
キレが良いとは言えないが、渋味がかなり強いという珍しさと総合的な味の力強さはかなりおもしろい。
酒だけで(つまみ無しで)楽しめる酒だと思う。
開封から二週間後、常温で
開封後、冷蔵庫で二週間置いたものをいただく。
香りはほぼ無し。
味は甘味・旨味が目立つ。
冷酒で飲んだときの苦味・渋味はほとんど感じない。
これらは全く無いわけではなく、すごく控えめにあり、それが甘旨とうまく調和してコクのある味わいを生み出している。
この(苦味・渋味の)味の変化は温度によるものなのか開封後二週間の味の変化によるものなのか判断できないが、これは美味い。
19%の高アルコール濃度とあいまって飲みごたえは抜群だ。
まとめ
総合的にはマル◎。
特にぬる燗が良い。
飲んだことがないなら、一度飲んでみても損はないと思う。
ただ、前述のとおり「池月」は販売店が限られており、この「うすにごり」は一部ファンからの需要が大きくてすぐに売り切れてしまう稀少な酒なので、入手するのはおそらく容易ではない。
一番確実なのは、発売直後に直接蔵元へ買いに行くことだ。
今年の販売開始は平成28年12月17日だった。
(昨年はいつ開始かはわからないが、平成27年12月18日に発見・入手した)
また余談になるが、実は僕はこの酒を毎年(過去3年)飲んでいるが、今年の酒は去年と比べて味がかなり変わった気がする。
具体的に言うと、去年はこんなに苦、渋味がなかった(と思う)。
今年から杜氏が変わったという噂を聞いたが、その影響か?
しかし、僕はこの苦、渋味が悪いと思っているわけではない。
前述のとおり、この苦、渋味は上原浩先生が言ってた新酒特有の未熟さによるものではないだろうか。
だとすればうまく熟成が進めばかなり味が変わり、うまくいけばものすごく美味くなる可能性があるんじゃないだろうか。
まあ、その前に飲んでしまうだろうが。
(追記→実際、開封後2週間置いただけでも渋味はかなり落ち着いた)
とりあえず、この酒が売っている間(例年、1月末くらいまで)は、僕はコレ(池月 うすにごり)か「福正宗 金色のしずく 豊醇旨口」しか買わない。
それで十分晩酌が楽しいからだ。
記事中に登場したお酒。
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おしまい。