【酒評】菊正宗 上撰 生酛 本醸造:普通に飲んで普通に美味い安定の晩酌酒(菊正宗酒造・兵庫県神戸市)
大手の酒きました。
いわゆる灘の酒、菊正宗。
ちなみに、「灘の酒」っていうのは兵庫県の阪神間の海岸沿いで造られる酒のことです。
この地域は酒造り適した水(宮水)と米(山田錦)に恵まれていることから、昔から日本酒の名産地として栄えてきました。
この「宮水(みやみず)」はミネラルが多いいわゆる硬水のため、この水で仕込んだ酒は味がしっかりしたいわゆる男酒になると言われています。
ちなみに「灘の酒」とは実は「灘五郷の酒」であり、この阪神間でとくに酒造りが盛んに行われている「今津」「西宮」「魚崎」「御影」「西」の5地域(灘五郷)で造られる酒のことです。
兵庫県に微妙に明るい人だと「灘」と聞くと「灘区」と「東灘区」を連想してしまい、かなり限られた地域を思い浮かべてしまうんですが(昔の僕のことです)、実際には西宮まで含むかなり広い地域を指します。
(実際の住所が灘区、東灘区なのは「魚崎」「御影」「西」の3地域ですね)
おっと、神戸市に4年間住んでたのでちょっと語っちゃいましたね。
さて、酒の話に戻りますか。
ところで、パッケージからしてめっちゃ生酛推しですよね、菊正宗。
”うまい”の印 伝承の生酛造り
生酛造りとは、生きた乳酸菌の力を借り力強い酵母をじっくりと育てる伝統の酒造りです。
生酛造りとは手間がかかる造り方です。
具体的には、
①米をすりつぶす作業(山卸し)をすること
②自然の乳酸菌を酒母に取り込むこと
が特徴です。
手間をかけ、じっくり時間をかけて酛(酒母)を仕込みます。
それゆえしっかりとした酵母が育ち、味がしっかりした酒に仕上がる、とのこと。
確かに、今まで一度も飲んだことないのに僕の中にも菊正宗といえば「生酛」で「味がしっかりしてる」ってイメージがあります。
きっと菊正宗は宣伝が上手なんでしょう。
ただ、名前は有名なんですが、意外と石川県(の僕が普段酒を買いに行くところ)では、ほとんど売っているのを見かけません。
この点では、もう少し北陸への営業に力を入れてほしいところです。
というわけで、たまたま金沢のアルプラザ(大河端)で見つけて衝動買い。
税抜き1,458円なりけり。
「食中酒」として最適です。
ちなみに、よくわからんけど世界で認められた辛口らしいです。
iTQiってなんぞや。
常温で
さあ、さっそくいただきましょう。
無色、にごり無し。
香りはほとんど感じない。
味は旨味がしっかりとした辛口。
キレが良い。
食中酒として最適とあるが、そのとおりだと思う。
しかし、味もしっかりしてるので、空酒(からざけ)でもいける。
味は薄くないが軽快で飲みやすく、かつ尖ったところがないので飽きにくい。
普段酒として良い酒だと思う。
上燗で
アルコールの香りが、そこまでキツくはないにしろ、鼻にツンとくる。
味については、酸が出てきた。
旨味がもともとあるから、濃醇そのもの。
先にも書いたが、味には尖ったところがない。
良い意味で普通の燗酒の味だ。
毎日飽きずに、不満なく飲めるだろう。
普通に飲んで、普通に「あーうめぇ」と言える酒だ。
まとめ
◎です。
普通に美味い。
特にこれといった不満もなく、毎日飲んでも飽きない(と思われる)味です。
とくに燗が良いですね。
生酛由来と思われる酸味をしっかりと感じることができ、飲んだときにより満足感が得られます。
ただ、税込みで1,500円ちょいと大手蔵元の紙パック酒としては安くはない部類なので、リピするかと言われれば即答はできかねる、というところ。
石川県の雄、福光屋の「金色のしずく 豊醇旨口」なんて純米酒でかつ味もしっかりの良品なので、パック酒部門でこいつを蹴落として我が家の常備晩酌酒の地位を獲得するのはなかなかハードルが高いのです。
この菊正宗も、目の前に出てくるのを飲む分には全く不満の無い酒ではありますが。
とりあえず、地酒信仰とともに一部で聞かれるようになった「大手蔵の酒は工業製品」的なイメージには全く当たらない、しっかりとした味わいのお酒でした。
おしまい。
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