書いとかないと忘れちゃう。




【酒評】満寿泉 純米:米の味をふくよかに感じる旨すっきり酒(桝田酒造店・富山県富山市)

 

富山県のコンビニやスーパーでものすごく良く見かける「満寿泉」。
富山県富山市の桝田酒造店が醸す銘柄だ。

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石川県でもちらほら見かけるし、富山の代表的な銘柄のひとつなんじゃないだろうか(と勝手に思っている)。
一回くらい飲んでみたいなと思っていた。

 

吟醸といえば満寿泉」なんて言葉も聞いたことがある。
これはかつて、三盃さんという有名な能登杜氏が桝田酒造の杜氏を務めていた頃、まわりに先駆けて吟醸造りに取り組んだことに起因しているらしい。

能登杜氏(のととうじ)

石川県能登半島の先端付近、珠洲市や内浦町を発祥地とする、日本酒を造る代表的な杜氏集団の一つ。杜氏の流派として捉えたときには能登流(のとりゅう)と称され、味の濃い酒質を製成酒の特徴とすると一般に言われる。

Wikipediaより

 杜氏(とうじ)

日本酒の醸造工程を行う職人集団、すなわち蔵人の監督者であり、なおかつ酒蔵の最高製造責任者をいう。

Wikipediaより

 

そんな前情報がありながら買ったのは純米酒吟醸ではない)。

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原材料名:米(国産)、米麹(国産米)
精米歩合:58%
アルコール分:15度

 なぜ60%はなく58%なのだろう。

 

理由は特に無い。
たまたま、店に満寿泉はこれしかなかったのだ。

というか、そのときは満寿泉を買うために行ったわけでもない。
先日、氷見の旅館に泊まりにいった際、夜のんびり部屋で飲もうと氷見の地酒「有磯曙」を買いにウキウキしながら高澤酒造まで行ったのに、休みで買えなかったのだ(日曜日が定休日?)。

 外部リンク:越中氷見の酒 高澤酒造場

 

「有磯曙」は普通酒を以前飲んだことがあり、キレが抜群で美味い酒だった印象がある。
事前に下調べし、この日は本醸造生原酒の「利右エ門」、もしくは氷見の魚に抜群に合う酒というコンセプトで造られたという「有磯曙 初嵐」あたりを買ってやろうと何日も前からニヤニヤしていたのに、蔵元が休みと知ったときの絶望感は並大抵のものではなかった。

他に別のめぼしい酒屋を探したりする時間もなかったので(家族連れだったし)、結局旅館への道中で見つけたセブンイレブンで仕方なく酒を調達することになってしまったが、その中では一番食指が動いたのがこれだったというだけの話だ。

 

製造年月が4ヶ月前というところも、コンビニクオリティというところで仕方なかろう。

コンビニ店内で24時間蛍光灯に晒され、常温放置されたことによる味への影響はどれほどなのかはわからないが、今回があくまでこの味が標準だという前提で書く。

 

常温で

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色なし、濁りなし。

香りはほぼ無し。
注意して嗅ぐと洋ナシのようなかすかな吟醸香がある、気がする。
だが、飲み込めば鼻から蒸米のような穀物様の香りが抜ける。

味は旨味が中心、酸味も少し、の辛口。
余韻に苦味、甘味。
米っぽい旨味が目立ち、あとからくるの苦味も相まって味に厚みがあるものの、全体としてはキレイにまとまっており、すっきりしている。
キレが良いということはないが、ダレはしない。
喉越しはけっこう刺激がある。

普通に美味い。
飲み飽きない味だと思う。

 

上燗で

温度があがると、一気に香りが立つようになる。
主にアルコール臭とカラメル様の香りで、鼻を近づけすぎるとアルコールが鼻にツンとくる。

味の要素は常温と同じく旨味が中心、軽く酸味。
温度とともに味が出てくるので、全体のイメージは変わらないながら味の厚みが増したような感じ。
ただ、後味は常温では苦味を感じたが、上燗では渋味を感じた。
この苦味や渋みが、この酒の味に厚みというかコクを与えていると思う。

香りや味を客観的に書くとあまり感情が伝わらないかもしれないが、この燗はとても美味しい

やはり常温より燗のほうが香り、味が広がり、美味い。

 

まとめ

全体的に尖った感じがなく、スタンダードに米の旨さを感じさせる酒だと思う。
かつ全体として味はキレイにまとまっている、「旨すっきり酒」だ。

派手さ、斬新さは全くないが、普通に美味しい。

毎日でも飽きずに普段飲みに使える、落ち着いた、安心の味だ。

4合瓶だったので、旅行から帰ってきた日の夜にはキレイさっぱり飲み切ってしまい、味の変化を見ることはできなかったが、こういう旨味中心の酒は、開封後しばらく置いておけばもっと美味しくなるような気がする(別に根拠は無い)。

 

評価はマル◎。

普通に美味い。
そして燗上がり(重要)。

 

ポンと食事の場に出てくれば、全く不満のない酒だと思う。

ただ、わざわざ自宅に常備するためにリピート買いするかと言われれば、そこまでではない。

僕はまだ見ぬいろんな酒と出逢いたいし、でも一日に飲めるお酒の量は限られているし、資金(お小遣い)も有限なのだ。
この基礎ハードルを超えてでもリピ買いする、というところまでは惜しくも至らなかったとうだけの話だ。

 

でも、満寿泉の他の酒も飲んでみたくなるような良い出来だったと思う。
得意分野の吟醸もいつか飲んでみたい。

 

最後に、桝田酒造店のホームページから引用。

美味求眞

美味しいものを食べている人しか美味しい酒は造れない。
私共は美味求眞はもう一つのモットーと考えます。富山という地は
海の幸、山の幸にふんだんに恵まれ、当然舌が肥えます。
日本酒も新鮮な素材を活かす事が求められます。
立山連峰からの膨大な雪解水が富山湾に注ぎ込み、富山ならではの
甘海老やシロエビ、寒ブリバイ貝、ホタルイカズワイガニが育ちます。
あじ、さより、きすなどの小魚の種類の多いこと。深い雪の下から芽吹く
山の精気を蓄えた山菜の数々はまさに精神的な薬膳です。
自然の味が濃く凝縮した素材には、流行りの淡麗辛口は役不足。綺麗であるが味のしっかりした
旨い満寿泉はこうして磨かれています。

食べものが美味いところは酒も美味い。
淡麗だろうが濃醇だろうがその土地の食事に合うのが一番だ。

 

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株式会社 桝田酒造店

〒931-8358
富山県富山市東岩瀬町269番地
TEL:076-437-9916

www.masuizumi.co.jp

 

石川県のお酒も美味しいです。


おしまい。