【随想】「菊姫 姫」について語る(菊姫合資会社・石川県白山市)
「菊姫 姫」が好きだ。
「菊姫 姫」は、石川県白山市の鶴来にある菊姫合資会社が醸す普通酒だ。
飲んだことがない人はまず一度飲むべきだと思う。
人生を損している。
最近よく耳にする、アルコール添加の是非を問う声
菊姫合資会社は間違いなく石川県を代表する蔵元のひとつだ。
そんな蔵元が醸す、一番身近な大衆酒がこの「姫」。
「姫」のラベルを見れば、アル添うんぬんといった問題がいかに微細なものであるかを知ることができる。
菊姫は「濃醇旨口」-
じっくり熟成させて、旨味をのせています。
だから、ほんのり黄金色。
山廃仕込
原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール、糖類
アルコール分:14度以上15度未満
お分かりいただけただろうか。
この「姫」は、醸造アルコールにとどまらず、糖類をも添加している。
お酒にとって一番重要なこととは
米と水以外を使ってないこと?
米をたくさん削ってあること?
だら*1!美味いことだろうが!(前のめりで)
どれだけ手間暇がかかってようが、不味ければそれは犬の小便と同じだ。
しかし、この姫を一口飲んでみたらどうだ。
美味いじゃないか。
原材料に「醸造アルコール」の文字を見つけた瞬間に鬼の首を取ったかのようにわめく輩には、前情報なしでこの「姫」を飲ませてみればいい。
「まあ、これ飲んでみて」って。
で感想を聞いてみて、
「なんじゃこりゃ、馬の小便だ!!」
なんて言うようなら、その人は自分の味覚・嗜好に基づいた上で、アル添を非難しているから、気にする必要はない。
人の好みは十人十色であり、全く仕方のないことだ。
問題は、その輩が姫をブラインドテイスティングしたのち、マイナスコメントを述べなかった場合だ。
その場合、その輩はイメージだけでアル添酒を貶しているだけであり、アル添を非難する資格を失う。
そんな輩は、今後料理酒かみりんのみ飲んでいれば良い。
話がかなり脱線してしまった。
僕の言いたいのは「菊姫の姫、美味いよ」と至ってシンプルなことだ。
飲むならやはり、燗が良い
ぬる燗~上燗が美味い。
僕は上燗寄りが好きだが。
ラベル記載のとおり濃醇な酒だが、燗にすることですべての特徴がパワーアップする。
色はうっすらと黄色。
香りは米っぽさと、それなりのアルコールっぽさ。
もう少し具体的に要素を書くとすれば、穀類様、甘臭、アルコール臭。
味は甘味、旨味、冷えてくるにしたがい酸味が出てくる。
まさに濃醇のお手本と言えるような、ずっしりどっしりな味わい。
キレという表現とは無縁の、ややあと味がだれる感じ。
菊姫は濃醇旨口-
そのとおりだと思う。
圧倒的な味わいだ。
ややぶっ飛んでいるといっても良い。
これが蔵元で一番低クラスの大衆酒の味か?
この酒をはじめて飲んだとき、僕は一発でクセになってしまった。
これを飲んだ後に「池月 普通酒」を飲んだら水のように感じたほどだ。
(決して池月が不味いわけではない)
それだけの特徴的な味にも関わらず、飽きない(僕は)。
まさに僕の好みど真ん中ストライクだった。
のど越しは刺激的で、パンチがある。
鼻を抜ける香り、味は総じてとにかく濃醇。
この表現に尽きる。
僕の好きな飲み方は、「姫」の燗2杯につき、福正宗(福光屋・石川県金沢市)のいずれかを1杯はさむこと。
福正宗の味のキレが、姫の濃さ・強さをより一層引き立ててくれる。
とりあえずこの酒、ほんまに美味い。
価格も二千円でお釣りがくるし、リーズナブルだ。
飲んだことないなら、ぜひ飲んだほうがいいよ、みなさん。
今日はいつもと違い、酒評的ではなく随想的な書き方をしてみた。
書きたいことはあらかた書いたので、唐突におしまい。
以下は菊姫のホームページからラベルに記載されていない商品情報を抜粋。
マイルドで飲みやすく、毎日の晩酌に最適。やわらかく癒し系の味わいで、いつまでも呑み飽きしません。一番ベーシックな製品ながら、菊姫らしさに溢れています。
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*1:馬鹿の意